女性にも発症する薄毛に注意!「FAGA」ってどういうものなの?

AGA(男性型脱毛症)はその和訳から男性に特有の疾患だと思っている人も多いでしょうが、実は女性もAGAを発症することがあるのです。

FAGA(女性男性型脱毛症)という別名で呼ばれることもあります。

実は女性の体内にも男性ホルモンがあり、FAGAはその由来物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)が原因であることは同じです。

ただ、女性と男性では発症メカニズムや症状に違いがあるため、別の名前がついているのです。

FAGAの発症メカニズムや症状はどういうものなのか、男性のAGAとどのような違いがあるのか、FAGAの対策にはどのようなものがあるのかなどについて、説明していきましょう。

AGAは男性だけの脱毛症じゃない!女性の薄毛原因―FAGA

AGAとFAGAの違いについて説明する前に、なぜDHTが頭部の脱毛や薄毛を進行させてしまうかについて知っておきましょう。

DHTは頭部において、TGF(トランスフォーミング増殖因子)という成長因子の一種であるTGF-βの生成量を増やします。

TGF-βは成長因子ではあるものの、実際の働きは毛母細胞の分裂を抑制してしまうというもので、これが頭髪の成長サイクルに影響を与えるのです。

頭髪は盛んに伸びる成長期、伸びが鈍化する退行期、伸びが止まり抜けるのを待つだけの休止期を繰り返しています。

TGF-βによって毛母細胞の分裂が抑えられると成長期が短くなり、十分に成長していない頭髪が抜けるようになります。

これが薄毛の原因で、この点についてはAGAもFAGAも同じです。

では、AGAとFAGAでは何が違っているのでしょうか。

それは、AGAは純粋にDHTの働きによって引き起こされるのに対し、FAGAは発症に女性ホルモンが関係していることです。

AGAが若年層で発症するケースが珍しくないのに対し、FAGAは若年層での発症は稀です。

これは、女性ホルモンの分泌量が盛んなことが関係しています。

女性ホルモンはIGF(インシュリン様成長因子)の一種であるIGF-1の生成を増やします。

IGF-1はTGF-βとは逆に、毛母細胞の分裂を促進させる働きがあり、これによって頭髪の成長期を伸ばします。

若年層は女性ホルモンの分泌が盛んなのでIGF-1の生成量も多く、これによってDHTによって生成されたTGF-βの働きを抑えているというわけです。

ところが加齢によって卵巣が衰えると女性ホルモンの分泌量が減少し、IGF-1の生成量も少なくなってしまいます。

IGF-1が減少するとTGF-βの働きを抑えることができなくなり、頭髪の成長期が短くなるのです。

これによって薄毛が進行するというのが、FAGAの発症メカニズムになります。

男性はDHTのブレーキ役といえる女性ホルモンの分泌量が極めて少なく、女性のピーク時の1割程度です。

そもそも体内の女性ホルモンだけでは、DHTの働きを抑えることができません。

なので、男性は純粋にDHTの働きのみによってAGAを発症しています。

つまり、FAGAの対策はDHTの生成抑制ではなく、女性ホルモンの働きを強める方向で行われる必要があるのです。

その為、治療法も男性とは当然のことながら変わってくることになります。

これで分かる!3つに分類されるFAGAの進行度

FAGAは急激に脱毛が進むものではなく、徐々に 薄毛になっていくのが特徴です。

進行度に合わせてⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型に分けられています。

Ⅰ型は、頭頂部の一部が薄くなってしまった状態です。

部位が部位だけに、この時点では気がついていないケースも多いのではないでしょうか。

Ⅱ型は、つむじの薄い部分がやや広がってきた状態です。

この時期になってくると、頭髪が薄くなってきたと気づく人が多くなってくるでしょう。

Ⅲ型は、頭髪の薄い部分が広がり、全体的に薄くなってきた状態です。

人によっては男性のAGAのように前頭部が薄くなってくるケースもあるとされており、いずれにしてもFAGAだとはっきり分かるような状態だといっていいでしょう。

FAGAは、頭頂部から頭髪が薄くなっていくため、発症に気が付きにくいという問題点があります。

これは、DHTの生成に必要になる5α-リダクターゼという酵素が頭頂部に分布しており、DHTの生成量が多い部分から薄毛になっていくためです。

FAGAもAGAと同じく、早期ならば薬剤による治療が可能ですが、対処が遅れると治療に時間がかかるため、常に頭頂部の状態に気を配っておくことが、FAGA治療の鍵を握っているのです。

ただ、FAGAの治療は男性を対象としたAGAクリニックではなく、女性専門のクリニックで行う必要があります。

なぜなら、女性はAGA治療薬のひとつ、プロペシアの処方が認められていないからです。

DHTというと薄毛の原因ばかりがクローズアップされがちですが、実際には体毛を濃くしたり、体を筋肉質にしたりするなど、男性らしい体作りには欠かせません。

胎児期の男児の場合、DHTは男性器の形成にかかわっています。

ところが、妊婦がプロペシアを服用すると胎児の体内でDHTが生成されなくなり、男性器がうまく形成されなくなるのです。

こうした先天性異常を防ぐため、女性にはプロペシアの処方が認められていません。

実際、5α-リダクターゼがなく、DHTをほとんど生成できない男性が生まれてくることがありますが、男性器がなかったり、あっても極端に小さかったりしてしまいます。

男性にとってのDHTの働きは、実はかなり重要なものなのです。

ちなみに、女性はプロペシアの服用だけではなく、手で触ることすらできません。

これは皮膚からプロペシアの成分が吸収され、胎児に悪影響を与えてしまう可能性があるからです。

パートナーがプロペシアを服用している場合、取り扱いには注意が必要になってきます。

女性にプロペシアが処方できないことは、長年にわたってFAGA治療の問題点となっていました。

ただ、最近ではパントガールという女性用の治療薬が開発され、脱毛抑制にめどが立ちつつあります。

こうした治療を受けるためにも、FAGAの治療は女性専門クリニックで行う必要があるのです。

女性ホルモンを減少させる 生活習慣は薄毛への道

いずれにしても、FAGAの発症を防ぐためには、女性ホルモンの分泌量を減少させないことが鍵を握っています。

加齢によるものは避けられないとしても、それ以外の原因は生活習慣の改善によって対策が可能なものばかりです。

加齢以外の女性ホルモンの分泌量減少の原因としては、以下のようなものが考えられます。

ストレス
まずストレスは、多忙な仕事や育児などによって恒常的に受けている状態が問題となります。

ストレスを恒常的に受けていると、自律神経のうち交感神経が常に活発に働いている状態となり、自律神経のバランスが完全に崩れてしまいます。

自律神経は大脳の視床下部と密接な関係があります。

視床下部は女性ホルモンを分泌するための指令を出しているのですが、ストレスによる自律神経のバランスの崩れは視床下部にも悪影響を与え、指令がうまく出せなくなり、女性ホルモンの分泌量を減らしてしまうのです。

対策としてはストレスを減らすことが必要です。

軽い運動をしたり、仕事の最中でも適度にインターバルを入れたりするなどして、恒常的にストレスを受けないようにする必要があるのです。

睡眠
睡眠不足はストレスの原因にもなりますが、内臓の働きを弱めてしまうという問題点もあります。

これは卵巣の働きを弱めることにもつながり、女性ホルモンの分泌量を減らしてしまうのです。

睡眠時間を長くしても、睡眠の質が悪いと結果として似たようなことになってしまうので注意が必要になります。

対策は睡眠をしっかりと取ることと、睡眠の質を上げることです。

最近、問題になっているのは夜遅くまでスマートフォンを弄っていることで、スマホの画面から出るブルーライトによって睡眠が浅くなってしまうということもあります。就寝前のスマホ弄りは控えましょう!

ダイエット
ダイエットについては、食事量を無理に減らすことで女性ホルモンの原料が不足してしまうことが問題となります。

中でも重要なのは脂質で、女性ホルモンの原料の一つとなっているのです。

脂質は太るというイメージで、必要以上に減らしてしまうと女性ホルモンが作れなくなってしまいます。

スリムな体になりたいという気持ちは分かりますが、ダイエットのやりすぎで薄毛になってしまっては意味がありません。

脂質はもちろん、タンパク質やビタミンなど、女性ホルモンの生成に欠かせない栄養素はちゃんと摂取するようにしましょう。

冷え
体を冷やすと血行が悪化し、卵巣の働きを低下させ、女性ホルモンの分泌量が減少します。

冬場はもちろん、夏場でも冷房の効いた部屋に長時間いると冷えの原因になりますので、注意してください。

ちなみに、運動不足などで筋肉があまりついていない人は、体が冷えやすくなっています。

熱は筋肉によって作られるもので、筋肉が足りないと発熱量自体が少なくなってしまうのです。

タバコ
タバコについては、ニコチンに女性ホルモンの分泌量を減らす働きがあるのが問題です。

吸えば吸うほど、女性ホルモンが減少してしまうようになっています。

ニコチンには頭皮の血管を収縮させて頭髪の成長に悪影響を与える効果もありますので、女性ホルモンとは関係なく育毛の敵です。可能ならば禁煙してしまいましょう。

アルコール
アルコールは飲みすぎると、卵巣の機能を低下させ、月経異常や排卵欠如などの原因となるという問題があります。

卵巣の機能が低下すると、当然のことながら女性ホルモンの分泌量も減ります。

1日当たりのアルコールの適量は20グラムで、これはビールにすると中瓶1本(500ミリリットル)と、意外と少ないです。

アルコール量の計算式 お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8
例)ビール中びん1本 500×[5÷100]×0.8=20

出典:(社)アルコール健康医学協会

中瓶1本分(500ミリリットル)ならば簡単に飲めるという人も多いでしょうが、どんどんお酒を飲んでしまうと、完全に適量をオーバーしています。

この量を週に3日以上摂取すると、月経異常などが起きるとされているのです。

もちろん、女性ホルモンも減少し、髪の成長が鈍化します。

髪のためにも、アルコールの量には気をつけてください。

FAGA以外にもある!あなたの薄毛原因を見分けよう!

ただ、薄毛はFAGAによってのみもたらされるものではありません。他の疾患によって薄毛になってしまうこともあります。

女性の場合、FAGA以外の原因として考えられるのは以下の通りです。

・分娩後脱毛症
これは妊娠中には女性ホルモンの分泌量が増加していたものが、出産後に一気に減少してしまったため、頭髪の成長期が短くなってしまうものです。

FAGAのように頭頂部が集中的に薄くならず、全体的に頭髪が抜けていくのが特徴になります。

分娩後脱毛症は基本的に時間がたてば元に戻りますが、なかなか元に戻ってくれなかったり、完治しなかったりするケースもあります。高齢出産の場合に多いので、注意が必要です。

・牽引性脱毛症
ポニーテールなど結える髪形を続けていると、負担によって毛根が弱ってしまい、頭髪の成長が妨げられてしまうというものです。

結えることによって負担がかかる生え際に症状が出やすいという特徴があります。

対策は、髪形を変えて毛根への負担をなくすことです。

悪化すると治らないケースも出てきますので、長期間にわたって髪を結うのはやめた方がいいでしょう。

・粃糠(ひこう)性脱毛症
頭皮の乾燥などでフケが増えて毛穴に詰まり、炎症を起こして頭髪が抜けてしまうものです。

原因については不明なところもありますが、頭皮の乾燥などが関係しているとされています。

洗浄力が強すぎるシャンプーを使うことで頭皮の乾燥を招くケースがあります。

フケが増えてきたなと思ったら、シャンプーをアミノ酸系界面活性剤が配合されているものなどに代えてみてはいかがでしょうか。

・円形脱毛症
硬貨のような円形のハゲが頭部にできてしまうものです。

自己免疫性疾患で原因については分からないことも多いのですが、ストレスなどが引き金となっているとされています。

治すためには医療機関の力が必要になってきますが、少しでも治りを早くするために、上手にストレス解消などを行うことなどが必要になってくるでしょう。

女性の薄毛といっても、実はこれだけの原因があるのです。

それぞれ、薄くなる部分が違うという特徴がありますが、頭髪に異常を感じたら医療機関を受診してみるようにしましょう。

FAGAは女性の脱毛症。女性には女性の対策を!

FAGAについて知っておいてほしいのは、以下の3つです。

・AGAとFAGAの原因は同じDHT
・AGAとFAGAは発症に女性ホルモンが関係しているところが違う
・女性ホルモンの分泌量は生活習慣に左右される

つまり、FAGAを防ぐためには、まず生活習慣をチェックする必要があるということです。

「髪は女の命」といわれるほど大切なものです。

普段から生活習慣や頭頂部の状態に気をつけ、異常を感じたらFAGAを専門に診ている医療機関に相談するなど、女性ならではの対策を取るようにしていきましょう。

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